フランス革命の恐怖政治: 穏健派の台頭とロベスピエールの失脚

フランス史において、恐怖政治（Reign of Terror）は依然として衝撃的な出来事として記憶されています。この時代、革命政府は反革命勢力に対する弾圧を強化し、数千人がギロチンで処刑されました。その背後には、極端な共和主義者であるマクシミリアン・ロベスピエールがいました。しかし、彼の独裁的な支配は長くは続きませんでした。穏健派の台頭とロベスピエールの失脚という劇的な転換によって恐怖政治は終焉を迎えました。

恐怖政治は1793年9月に開始され、1794年7月まで続きました。この期間、革命政府は国民公会議の指導下でフランス全体を支配し、反革命活動者を容赦なく弾圧しました。ロベスピエールは、公安委員会の委員長として、恐怖政治の主要な推進力となりました。彼は「国民の敵」とみなした人物を大量に逮捕し、ギロチンに送りました。

当時のフランス社会は、不安定さと混乱に満ちていました。王政が廃止された後、国内にはさまざまな派閥が生まれ、互いに対立していました。穏健派は、革命の成果を維持しつつ、秩序と安定を取り戻すことを目指していました。一方、急進派は、王党派や貴族を徹底的に排除し、共和主義体制を確立することを望んでいました。ロベスピエールは、この急進派の指導者の一人でした。

ロベスピエールの影響力は、彼の優れた演説能力と、革命の理念への強い信念に基づいていました。彼は国民に熱狂的な支持を集め、公安委員会において大きな権力を握りました。しかし、彼の独裁的な姿勢は、次第に多くの国民から反発を招き始めました。穏健派は、ロベスピエールの過激な政策がフランス社会をさらに不安定にするのではないかと懸念し、彼を取り除く必要があると考えるようになりました。

ロベスピエールの失脚

1794年7月27日、国民公会議はロベスピエールとその支持者を逮捕しました。この事件は「テルミドール9日クーデター」として知られています。ロベスピエールはギロチンで処刑され、恐怖政治は終焉を迎えました。

テルミドール9日クーデターの背景には、ロベスピエールの政策に対する国内外の反発がありました。彼の独裁的な姿勢は、多くの国民から批判されていました。また、ヨーロッパ諸国もフランス革命の拡大を警戒しており、ロベスピエールに対抗する動きをしていました。

恐怖政治の終焉とその後

テルミドール9日クーデターの後、穏健派が政権を握り、恐怖政治は終焉を迎えました。新しい政府は、革命の過激な側面を修正し、秩序と安定を取り戻すことを目指しました。しかし、フランス革命はまだ終わっていませんでした。ナポレオン・ボナパルトの台頭によって、フランスの歴史は新たな局面を迎えることになります。

恐怖政治は、フランス革命の複雑さと暴力性を象徴する出来事として歴史に刻まれています。それは、革命がもたらす可能性を理解し、その倫理的な側面について考える上で重要な教訓を与えてくれます。

参考資料:

• 「フランス革命史」 アルフレッド・ドラモンド著
• 「恐怖政治の時代」 フランソワ・フーケ著